2005.06.08

就職対策|にほんご力をつけよう

ここ数年、大学生から就職活動・・・とりわけマスコミ就職の相談を受けます。その中で、よく聞かれるのは「資格は何かいりますか?」という話。大学生たちは「英語は必要ですか?」と執拗に尋ねてくる。僕は毎度毎度、思ったとおりに答えることにしています。「その前に自分の『にほんご力』は十分備わっているのか?」と。

自分の直感は、実は大当たりでした。

<日本語の語彙力>私大生の19%「中学生並み」[2005.06.08]

大学生の語彙(ごい)力が低下していることが、大学、短大の中堅校を対象にした調査で分かった。独立行政法人メディア教育開発センター(千葉市)が実施し、私立大1年生の19%、短大1年生の35%が「中学生レベル」と判定された。補習や授業で「日本語技法」「日本語コミュニケーション演習」などを開講する大学が増えているが、調査はこうした大学側の不安を裏付けた。

悲しい話ではありますが、平たく言えばおバカな大学生が増えてしまっただけの話ですね。英語力だろうが、その他諸々の力だろうが、僕らが日本人である以上は「にほんご力」。。。すなわち、日本語を正確に使いこなすだけの能力がなければ、そもそもコミュニケーションが取れないということなのです。英語を知っていても和訳できなきゃ、日本では無用の長物でしょ。「にほんご力」と一言で言っても中身はいろいろ。。。

 

まずは漢字の読み書きの能力。そして語彙力。手書きをする習慣や活字を読む習慣を自ら減らす今の学生諸子にとってみれば、しっかりと意識を持って「にほんご」に取り組まなければ、廃れ者になるのは目に見えています。社会に出ると「にほんご力」のない者には残酷にも「おバカ」のレッテルを貼られてしまいます。最近の就職活動で不可欠な、エントリーシートや面接は元来学生の価値観や潜在能力を見るために実施しているのですが、最近はそれ以前の問題として「にほんご」が下手なバカを篩い落とす手間も必要になったのです。

 

その手間をかけねばならない面接をする会社側からしたら、たまったもんじゃないですよね。はっきりいって、非常に虚しい作業だからです。だって日本の明日を支える学生の能力低下をこれでもか!と見せ付けられるのですから。以前、新聞記者を目指す学生の語彙力を試してみたことがあるのですが、驚いたのは試しに読ませた四字熟語を全問正解したこと。さすがだなーと思ったのです。。。。

 

ところが。。
ひとつも「意味」を答えられなかったのです。これには驚いた。つまり、受験勉強と同様、いい点をとるための暗記科目として認知していたのです。活字を使うことを生業とするはずの記者の卵が。。。。学習への目的意識を持たないこと。

実はそもそもの発端は、そこにあるのではないかな?別に言葉をたくさん知らなくても、なんとなく意味は通じる。それ以上に、自分と年齢・性別・価値観・利害が異なるさまざまな人とこの先、コミュニケーションをとることを予定していないのですよね。自分の人生の中に。語彙力の低下を暗記力でカバーするような対策を取ると、ますます日本におバカが増殖します。「なぜ語彙力を付けなければならないのか?」という根本的な理由を叩き込まないと漢字やことわざ、四字熟語なんか、いちいち覚えようとはせんでしょ。