2005.03.25
ラジオ業界解説|番組は誰のもの?(1) ライブドアvsニッポン放送
ライブドアvsフジテレビまだまだ状況が混沌としていますが、このところ芸能ニュースでもこれらの話題が出まくってきましたね。
その中で驚いたのは・・・
中島みゆき、タモリらニッポン放送番組を降板の意向 [2005.03.23]
ニッポン放送の番組に縁の深い中島みゆき(53)・タモリ(59)ら
複数の著名出演者が、同局の経営権がライブドアに移った場合には
番組を降板、または出演しない意向を示していることが23日分かった(サンスポ)
これって、どうかと思うなぁ。中島みゆき、タモリのほかに名前が出てきたのは、江本孟紀・倉本聰・萩本欽一・美川憲一など。
出てくる言葉には
「番組。。。特にラジオ番組は人間関係で作り上げるもの。
経営者が変わるということは今までどおりのことができないこと。だから出ない」という論理だそうな。
ニッポン放送の社員はこれをどう捉えているのか?まずこれを機に会社を辞めようと思う人は「そうだ!そのとおり! やっぱり一緒に番組やって来た人は言うことが違う!」って感じてるかな?
実はすでに一緒に行動してたりして。
でも残る人はつらいよな。「なんで始まってもないのに、勝手に判断して辞めるのよ!?」と思うことでしょう。まぁここで重要なのは、 「番組とはそもそも誰のものなのか?」 ということですな。いみじくも日枝会長は「放送とは公共性の高い業種なんだ」とのたまったわけで。そのような意識を持って仕事に臨んでいるのでいるならば、「番組」=「視聴者・聴取者のもの」なんだよな。絶対に。
万が一、この騒動を機に過半数のリスナーが「そうだ!ホリエモンが来る前に番組を終わらせよう!」なんて意見を述べたのならば話は別ですが、そうではない。
しかも若年層を中心にホリエモンを支持する声が多いのも事実。この事実に目をそむけてはいけない。つまりLivedoorとの融合によって
「さらに面白いものが生まれる、面白いことが始まる!」という期待のほうがでっかいはず。
にもかかわらず、作り手は「作ってきた『作品』を壊されたくない」という「既得権の防御」から降板という宣言をしてるわけで。これって明らかに現状を無視している。既得権でないならば、思い出なのか?とにかく作り手だけの論理で物事考えてる。マーケティングの論理を借りると、かつての日本の企業の大勢が「製品コンセプト」重視だったのね。
つまり「技術力や製品能力」を全面に打ち出してものを作り売る。後はニーズが勝手についてくる。かつての日産が「技術の日産」と打ち出していたように。。。。でもこの考え方は結局は職人志向であり、目標は自己満足で終わる。だから主流でなくなった。今は「マーケティングコンセプト」を重視するのが経営の基本。顧客のニーズを研究し、最終目標は「顧客満足」なんだよね。
聴いている人、見ている人が望んでもいないのに、勝手に番組を辞める、会社を捨てるといった発言をするのは、明らかに今やっている放送や番組への「責任回避」でしかない。今まで「自己満足で仕事をしてきた」としか思えない。だから今回の発言を、僕は非常にいらだって見ています。
Livedoorがニッポン放送の経営にどう関わるか、そしてどのような企業を目指すのか?
経営者が変わる以上はそれを受け止めて新しいものを考えないといかんのじゃないか?
自ら不仲を演出すると、AOLとタイムワーナーの合併の二の舞になってしまう。結局、僕らが愛してきたニッポン放送をつぶすことになる。それとも「昭和のニッポン放送」を崩された時点で死を選ぼうとしているのか?だとしたらそれは株主への責任回避やろ。会社人であり企業人であるのが先。芸術家ではないのが放送局のディレクター。彼らが昇進して経営者にもなっているわけでして。その意識の欠落が今回の事件を招いたんじゃないか?
どんな状態になっても、不屈の精神で新しいものを作ることをしないやつはディレクターじゃない。元ディレクターとして、それだけはいいたいな。まぁ、とはいえ。今回の芸能人の発言、深い深い実情を鑑みるとわからんこともない。
タモリ・江本孟紀・倉本聰・萩本欽一なんかはフジサンケイグループに恩義を感じてるんでしょう。ゆえに擁護するような発言をしなきゃいかんという立場なのでしょう。何せまだ、最終的に経営者がどっちになるかわかんないから。
本当ならば、洞ヶ峠を決め込んでいたいところでしょうが、「今、仕事をもらっている身分」だからフジ擁護のスタンスを見せないといけない。
でもね。会ってもいない人を批判するのは間違っている。幕末のテロリストと同じじゃん。そんなの。坂本竜馬は勝海舟を斬るつもりだったけど、辻斬りではなく話を聴いてから判断するスタンスをとった。その結果が、殺害でなく「弟子入り」。こういう史実から、立ち振る舞いを学ぶべきじゃない?
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