• トップページ
  • 放送局から生放送のノウハウが消え始めている。。

2004.11.02

放送局から生放送のノウハウが消え始めている。。

きょうの夜、久しぶりに師のひとりと、一献傾けました。彼の名はYカメラマン。名字がY、名前がカメラマン。バカにしとんか?とお叱りを受けそうですが、半分ホント。

その昔、福岡にあった朝のワイド番組「モーニングモーニング」。この中で活躍してた史上まれにみる、「しゃべるカメラマン」。しゃべりながらカメラを振るわけで、まさに神業。そんな所業を10年以上やってのけた方。他局も何度か「カメラマンにしゃべらせる」というパクリをやりましたが、続かなかった。そんくらい難しいんよね。

 

で、ボクが入社して最初の配属はテレビ制作部のこの番組担当。当然中継現場にも出るわけでして。Yカメラマン(以下Yカメ)に付いて回っては中継のノウハウ、生放送のノウハウを数々学び、少しずつ自分のものにしてきたわけです。そんな彼も今は他局でいろんな仕事をしております。

 

飲みに行ったのは久しぶり。ということもあり、いつものボクの友人の店へ。で、飲みの席での話ですが、とても悲しい話を聞いてしまいました。それは・・・。生ワイドの番組作りから、「生放送」の概念が消えてきていること。スタジオ、中継のライヴ感が、優先順位で下位に位置し、どうしてもVTR編集の出来不出来が品質評価を決定づけている傾向にあるそうな。

 

ボクのいる会社においては、昔からその傾向はあったような気はしますが、最近はさらに顕著だとか。ゆえに、生中継ができる人が少ない。生番組の中でスタジオだけで番組を作れる人が少ない。そういうことらしい。そらいかんな。

 

ボクの経験から言わせてもらえば、やはりVTRの取材編集よりも生番組の仕切り・生中継のディレクションの方が、めっちゃ大変。編集作業は気に入らなければ、何度でもやり直しが効きます。取材現場での撮りなおしも、ある程度はできます。

でも。生番組・生中継では失敗が許されません。一つの段取りをミスすると、すべてがダメになるのね。ディレクターのミス、スイッチャーのミス、アナウンサーのミス、オーディオのミス、タイムキーパーのミス。どこかでミスしただけで、完璧な放送は消えうせてしまいます。そのノウハウが会社から消えているうえに、誰もその問題を指摘しないとか・・・。

 

今まではこの話、よく耳にしてたことだったのだけど。最近はさらに問題が。。。2006年から始まる地上波テレビデジタル化。このデジタル放送の開始によって、「(作り手サイドで)何がどう変わるか?どう対策を採ればいいか?」何も話してないそうです。関心もないとか。これって、ちょっとヤバくない?

いざ放送が始まって、「なんでこれができんとね!?」と言い出しても後の祭り。忙しさを理由に、啓発活動にとりかかってないそうな。
あと1年半弱なんですけど。。。まぁそんなこんなもあり、Yカメ曰く 「今は働くのがあまり楽しくない」とな。間違った方向に進んでいる船、指摘した人間から海に突き落とされているみたい。気づいたら、舵取りそのものを海に突き落としてるかもね。やれやれ。

ちなみに。デジタル化で何か大幅に変わることがあるのでしょうか?という質問を受けることがあります。

生放送の場合、最も厄介な問題が「タイムラグ」。「ディレイ」とも言います。つまり本当のライブに対する、画面上の映像・音声の遅れ。オールデジタル化で生中継を、家で放送をみてると、最大で4秒の遅れが出るかも・・・と。しかも映像と音声のディレイがバラバラ。つまりしゃべっている人の顔を撮ると、口の動きと音声がズレるわけ。(リップシンクといいます)これが、最高に気色悪い。 さて、どう対策を採るかね。誰が考えてんだろか?